第70代主将 上田健司

広島大学体育会ヨット部が創立75周年を迎えられたことを、心からお祝い申し上げます。また、長きにわたり現役部員の活動に対して惜しみない援助をいただいた、しぶき会の諸先輩方に心から感謝申し上げます。都合により式典への出席は叶いませんでしたが、式の無事なる開催を心からお祈り申し上げます。

私が主将を務めた第70代とその前後の代は、新型コロナウイルス流行の影響を受け、部としての活動が大いに制限された世代でした。第68代が好成績を残し、以降の代も続こうと息巻いていた矢先の出来事であり、やりきれない思いを抱えたまま学生生活を過ごしていた部員も多かったのであろうと思います。しかし、そのような逆境の中でも座学やトレーニング、オンラインレースや山登りなど、各自で持ち寄ったアイデアを基に、創意工夫を凝らして士気を保つよう尽力しました。随分と不格好ながらも、今では愉快な思い出として仲間たちとの語り草となっております。当時は対面でのミーティングすら、感染拡大防止の観点から控えており、毎晩のようにTeamsで4年の幹部たちとミーティングを行っていたことを鮮明に覚えています。特に470クラスのチーフであった髙田や4年の藤原、スナイプクラス4年の小坂などから、上記の独創的な練習メニュー案が飛び出してきました。当初は面食らったものの、制限された環境下で行える最低限の部活動として、部員どうしで笑いあいながら取り組みました。また、当時3年の西半や神下に因幡、2年の平田や西側などからも、下級生としての考えや思いを聞くことができました。活動再開のみに注目し、狭くなりがちであった私の考え方にも幅が出たと思い、今でも彼らには感謝しております。
思い通りに練習ができないという理不尽を味わいながらも、明るく前を向いて日々耐え抜いた姿勢は、これから我々の人生を歩むうえで大いに役立つと確信しております。また、そのような環境を乗り越えて、ヨット部の伝統や技術が途絶えることなく、現役部員に受け継がれていることは喜ばしいことです。75周年という節目を迎えたヨット部が、これからも時代に合わせて柔軟に変化しつつ、各代の目標を達成するために日々奮闘する姿を陰ながら応援させていただきます。

私がヨット部で過ごした時間は、笑えたことや辛いこと、成し遂げたことや失敗したことなどが、色濃く思い出として刻み込まれています。社会人になってまだ間もないですが、ヨット部で学んだことが活かされる場面も数多くあります。この活動を通して出会う人々と、真剣にぶつかって、お互いに人間性を磨きあげることができるヨット部は、現役部員の皆さんにとっても非常に良い環境であると考えます。どんな結果になろうと、その4年間は多くの人には味わい得ない、貴重な経験になるでしょう。安全と健康に気を付けながら、これからも目標に向かう日々を目いっぱい楽しんでください。

改めて、広島大学体育会ヨット部創立75周年をお祝い申し上げます。

第70代主将 上田健司