広島大学長 越智光夫

広島大学体育会ヨット部創部75周年に寄せて

広島大学体育会ヨット部創部75周年にあたり、心からお祝い申し上げます。

今年、広島大学は開学から75年、最も古い前身校の創立から数えて150年を迎えます。新制広島大学の誕生と共に創部された広島大学体育会ヨット部は、75年の長きにわたって輝かしい歴史を刻んでこられました。全日本学生ヨット選手権大会における、昭和46年のクラス優勝と昭和54年の総合優勝は、まさに偉業と言えます。さらに、国民体育大会での3連覇、広島アジア競技大会での優勝など数々の金字塔を打ち立てられたことは、広島大学人の誇りです。

これらの輝かしい数々の戦績と併せ、忘れてはならないのが、近年の広島大学体育会ヨット部OBの方を中心としたインクルーシブ・セーリングへの取組です。障害の有無にかかわらず、誰でも手軽に操れるのが、小型ヨット「ハンザ」ですが、その世界大会「2018ハンザクラスワールド&インターナショナル広島大会」が2018年10月に広島湾で開催されました。私も広島大学体育会同窓会の山根恒弘会長らとともに、開会式に出席したのを覚えています。同大会には、ヨット部の皆さんをはじめ、多くの学生や教職員がボランティアとして協力してくれました。

さらにその、4年後には「2022 ハンザクラスアジアパシフィックチャンピオンシップ」および「パラワールドセーリングチャンピオンシップハンザクラス広島」が開かれ、今や広島がインクルーシブ・セーリングの聖地として内外から注目されているとお伺いしました。広島大学は障害のある学生への支援に力を入れていますが、それを実践されている広島大学体育会ヨット部ならびにOBの方々の活動に改めて敬意を表します。

改めて申すまでもなく、大学生活における課外活動の意義は、体力、精神力を磨くとともに、仲間との共同作業を通じてチームワークスキルを身につけ、複雑かつ多様な現代社会に柔軟に対応できる人材を育成することにあります。課外活動は、生涯にわたるかけがえのない友人との出会いの場でもあり、まさに豊かな人生を育む揺籃であると思います。

現在のヨット部は、「助け合いながら協力し、競い合うこと」をスローガンとされ、全日本インカレ総合10位を目標に活動しておられるとお伺いしました。競い合うことも重要ですが、広島県セーリング連盟会長で広島大学体育会同窓会会長にもご就任いただいている山根恒弘様が推進されている誰もが楽しめるヨットの在り方も今後考えていく必要があると思います。ヨット部OBの皆様には一方ならぬご支援、ご尽力を賜ってまいりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

広島大学体育会ヨット部創部75周年の節目をさらなる飛躍のマイルストーンとし、これからも部活動を通じて新たな共生社会の先駆けとなる人材の育成に努めていただくことを期待しております。

広島大学体育会ヨット部の今後益々のご発展を祈念し、お祝いの言葉といたします。